どうやら櫂くんと離れてしまうような展開になりそうだという話を聞いて衝撃を隠せません。でもEDで櫂くんが一緒にいなかったのでちょっとは覚悟してた…。んですけどひょっとして櫂くんも記憶操作されたままなのそれはちょっと辛すぎるんじゃないって泣きそうになりながら櫂くんとアイチについて考え続けた結果半回転位して片方は覚えてて片方は忘れてるっていう温度差によるすれ違いって切な萌えじゃない?みたいなところまでたどり着いた。でも悲しくて泣きそうになったのは事実なので代わりにアイチきゅんに泣いてもらった小話おいときますね。あいまいな情報を聞いた勢いだけで書いた代物なのでさらっと読み流せる方向け。2話で割とあっさり事態を受け入れたり記憶が戻ったりするような展開になったら笑えばいいと思うよ。悲恋の方が荒ぶる私の悪癖はどうにかした方がいいね。唐突に始まります「櫂くん…、覚えてないの?レンさんからPSYクオリアの力を引き離したのだって、僕が…僕が」「ああ、覚えている。お前にはもちろん感謝してる。俺でさえ手に負えなかった、あきらめるしかないと思っていたレンをあの状態から救ってくれたのは、間違いなくお前だった」 わずかに目を細めて緩くなる表情は、滅多に笑顔を見せることのない櫂にしては充分、笑んだと言えるものだったろう。 けれども、アイチはもう知っている。 ほんの数日前まで自分に向けられていた彼の笑みには、もっと優しく、アイチの心をふわりと包み込んでくれるかのような温かさがあったことを。 今のそれには、ただの挨拶程度の意味合いしか含まれていない。 櫂も例に漏れず忘れてしまっている。それも、もしかするとカードのことだけでなく……。「ち、ちが…違うよ。僕が言いたいのはそういうことじゃなくて」 混乱が頭の中を渦巻いて、うまく言葉が出てこない。「かっ…櫂くん、も、忘れちゃったの?ロイヤルパラディンや…櫂くんが使ってたかげろうのことも、全部…全部……。僕がヴァンガードを始める一番のきっかけは、櫂くん、君がくれたブラスター・ブレード…ロイヤルパラディンのカードだったでしょう?」 真っ直ぐに櫂の瞳を見つめる。本当は不安に押しつぶされそうで、すぐにも目を逸らしてしまいたい気持ちに負けそうになる。だけど、ここで負けちゃいけない、そう自分に言い聞かせる。「…ブラスター・ブレード」 櫂の口から発せられるその名前、その響きが、ひどく懐かしいのにとても遠いように思えたのは何故だろう。「悪いが、そんなカードには覚えがないな」 目の前が、真っ暗、に、なった。「そんな……」 言葉は続かなかった。何も、何も浮かんではこない。「大丈夫か、先導」 アイチは力なくゆっくりうなずいた。「…そうか。悪いが、俺はそろそろ、」「…うん」 顔を上げられないまま、視界のすみで櫂の背中が遠ざかる。 ――櫂くんは、 真っ白な頭の中に、刻み込まれる。 ――忘れてしまったんだ。 否定したいのに、悲しいくらいに揺るぎない事実。 ――カードのことも… ――僕たちを繋いでいたはずの大事な思い出も… ――やっと通じ合えた、あの幸せな気持ちも…… アイチの瞳から大粒の涙が零れ落ちた。 それは一度流れはじめると止まらなくて、あとからあとから溢れては頬にいくつもの筋を作る。 かいくん…かいくん… 言葉は音にならなくて、溢れる涙の止め方もわからなくて、苦しくて、苦しくて、「ブラスター・ブレード」 帰りの道すがら、もう一度つぶやいてみる。 初めて聞いた名称のはずなのに、その響きは不思議と心に馴染む。 先程からざわつく胸の、少しだけしめつけられるような痛みが何なのかがどうしても、わからないのだ。畳む ヴァンガード 2012/04/10(Tue) 00:05:00 Tweet たいーつ
でもEDで櫂くんが一緒にいなかったのでちょっとは覚悟してた…。
んですけどひょっとして櫂くんも記憶操作されたままなのそれはちょっと辛すぎるんじゃないって泣きそうになりながら櫂くんとアイチについて考え続けた結果半回転位して片方は覚えてて片方は忘れてるっていう温度差によるすれ違いって切な萌えじゃない?みたいなところまでたどり着いた。
でも悲しくて泣きそうになったのは事実なので代わりにアイチきゅんに泣いてもらった小話おいときますね。
あいまいな情報を聞いた勢いだけで書いた代物なのでさらっと読み流せる方向け。
2話で割とあっさり事態を受け入れたり記憶が戻ったりするような展開になったら笑えばいいと思うよ。
悲恋の方が荒ぶる私の悪癖はどうにかした方がいいね。
「櫂くん…、覚えてないの?レンさんからPSYクオリアの力を引き離したのだって、僕が…僕が」
「ああ、覚えている。お前にはもちろん感謝してる。俺でさえ手に負えなかった、あきらめるしかないと思っていたレンをあの状態から救ってくれたのは、間違いなくお前だった」
わずかに目を細めて緩くなる表情は、滅多に笑顔を見せることのない櫂にしては充分、笑んだと言えるものだったろう。
けれども、アイチはもう知っている。
ほんの数日前まで自分に向けられていた彼の笑みには、もっと優しく、アイチの心をふわりと包み込んでくれるかのような温かさがあったことを。
今のそれには、ただの挨拶程度の意味合いしか含まれていない。
櫂も例に漏れず忘れてしまっている。それも、もしかするとカードのことだけでなく……。
「ち、ちが…違うよ。僕が言いたいのはそういうことじゃなくて」
混乱が頭の中を渦巻いて、うまく言葉が出てこない。
「かっ…櫂くん、も、忘れちゃったの?ロイヤルパラディンや…櫂くんが使ってたかげろうのことも、全部…全部……。僕がヴァンガードを始める一番のきっかけは、櫂くん、君がくれたブラスター・ブレード…ロイヤルパラディンのカードだったでしょう?」
真っ直ぐに櫂の瞳を見つめる。本当は不安に押しつぶされそうで、すぐにも目を逸らしてしまいたい気持ちに負けそうになる。だけど、ここで負けちゃいけない、そう自分に言い聞かせる。
「…ブラスター・ブレード」
櫂の口から発せられるその名前、その響きが、ひどく懐かしいのにとても遠いように思えたのは何故だろう。
「悪いが、そんなカードには覚えがないな」
目の前が、真っ暗、に、なった。
「そんな……」
言葉は続かなかった。何も、何も浮かんではこない。
「大丈夫か、先導」
アイチは力なくゆっくりうなずいた。
「…そうか。悪いが、俺はそろそろ、」
「…うん」
顔を上げられないまま、視界のすみで櫂の背中が遠ざかる。
――櫂くんは、
真っ白な頭の中に、刻み込まれる。
――忘れてしまったんだ。
否定したいのに、悲しいくらいに揺るぎない事実。
――カードのことも…
――僕たちを繋いでいたはずの大事な思い出も…
――やっと通じ合えた、あの幸せな気持ちも……
アイチの瞳から大粒の涙が零れ落ちた。
それは一度流れはじめると止まらなくて、あとからあとから溢れては頬にいくつもの筋を作る。
かいくん…かいくん…
言葉は音にならなくて、溢れる涙の止め方もわからなくて、苦しくて、苦しくて、
「ブラスター・ブレード」
帰りの道すがら、もう一度つぶやいてみる。
初めて聞いた名称のはずなのに、その響きは不思議と心に馴染む。
先程からざわつく胸の、少しだけしめつけられるような痛みが何なのかがどうしても、わからないのだ。畳む